「目が見えない僕だからこそできることがある」生まれつきの視覚障害を持つ高校生ミュージシャンかしわもちかずとさん

【アクセシビリティの祭典懇親会にて歌うかしわもちかずとさん 撮影:Ten】

先日(5月16日)神戸で開催された

アクセシビリティの祭典2019

終了後の懇親会でユーモアなトークを挟みながらギターを弾き、歌っている少年がいました。

かしわもちかずとさんは、2001年兵庫県明石市出身の、現在高校3年生。
先天性の網膜の病気で、生まれつき目が見えなく、光を知りません。

3才の頃からエレクトーンやピアノ、ギターなどの音楽に触れ、2014年3月から全盲小学生ミュージシャンとして地元明石市で初めての単独ライブを開催。今年の5月には初のオリジナルアルバムを制作、販売しています。

自分の素朴な感情などを歌にして「目が見えないのも個性の一つ」として歌う、そんな高校生ミュージシャンに音楽と出会ったきっかけや、音楽を通じて伝えたいことなどをお聞きしてきました。


なぜ音楽活動をはじめられたのですか?

昔から弦楽器に興味があり、三味線やギター、バイオリンをやってみたいという気持ちがありました。小学校3年生の時に、おばあちゃんに、フリーマーケットでギターを買ってもらったんです。触ってみると「ジャラーン」という普段よく聞いていたギターの音がして、「面白い!」と思いました。


そこからちょうど同じ頃に、シンガーソングライターである、嘉門タツオさんの音楽に出会いました。僕も嘉門タツオさんのように、ギターを弾きながら歌を歌いたいと思うようになり、本格的に音楽活動をはじめました。

「かしわもちかずと」という名前は1992年に「替え唄メドレー」で紅白歌合戦に出場した、嘉門タツオ(嘉門達夫)さんから頂いた名前だそうです。
嘉門タツオさんとの出会いは嘉門タツオオフィシャルブログでも紹介されてました。


かしわもちさんの曲の中で一番気に入ってる曲はなんですか?

「伝えたい想い」と「届け!僕の歌」という曲です。

「伝えたい想い」という曲は、「あるがままの自分で、自信を持って前を向いて生きていこう!」という想いを歌にしています。

【動画:かしわもちかずと「届け!僕の歌」(かしわもちかずとオリジナル曲)】

「届け!僕の歌」も、「夢に向かって進んでいきたい!悩みや迷いがあっても、まずは踏み出そう」という自分の歌が、一歩を踏み出せず思いとどまっている人たちに届いてほしいという思いがあって、作った曲です。毎回ライブでも歌っています。

この曲の一番気に入ってる歌詞は、サビの「僕の歌よ届け」という所です。この歌詞には、僕の歌がたくさんの人に届いて、そこから”なにか”を感じとっていただきたいなっていう思いを込めています。


今後、どういったことを伝えていきたいですか?

僕は生まれつきの視覚障害者なので、目が見えない僕だからこそできること……例えば点字についてや、時間を確認する方法など、目が見えない人の生活などを発信していき、視覚障害についての理解をもっと広げていきたいと考えています。

なので、歌を歌うだけじゃなく視覚障害に関するトークをはさんだ、講演会みたいなのももっとやっていきたいと思います。

また、音楽活動だけでなく、実はコンピューター関連にも興味があります。今の時代は、視覚障害があっても音声読み上げソフトとかを使って色々なことができるんですが、一般に普及しているソフトとかだと、視覚障害者には使いにくいものも多いんです。そういった問題を解決するために視覚障害の方がもっと使いやすいものを開発していきたいです。


最後に活動を続けている原動力を教えてください

音楽活動をはじめたばっかりの時は嘉門タツオさんの曲のコピーだけやったんですけど、その時から、自分の音楽を聞いてくれるお客さんの笑い声や拍手が、ほんとにうれしかったんです。声を掛けてもらったり、聞いてくれる人が、一番の原動力になっていて、それが自分にとってプラスに働いていると思います。


今回、取材したかしわもちかずとさんの初オリジナルアルバム「届け!僕の歌」の購入方法はこちらの公式Webサイトをご覧ください。

(インタビュアー・ライター:Ten  編集協力:牧 美帆)

関連情報:
かしわもちかずと公式サイト
かしわもちかずとTwitterアカウント

かしわもちかずとLINE@

YouTubeチャンネル

あわせて読む:
【連載】直也の視覚障害とIT




この記事のご意見・感想等をこちらのフォームから回答お願いします。ご回答していただいた内容は編集部及び記事に登場した方に共有させて頂きます。